TOPへTOPへ

ピロリ菌

ヘリコバクター・
ピロリ菌とは

胃液や免疫が未発達な幼少期に感染し、強酸性の胃液がある胃の中でも、アルカリ性のアンモニアを作り出して周りを中和することで、胃の中に棲みつくことができる細菌です。原因は不衛生な水や食べ物の摂取により感染したり、家庭内感染も示唆されています。ピロリ菌が産生するタンパクが胃の粘膜に持続的な炎症を引き起こします。ピロリ菌感染による胃炎が長期間継続すると、胃の粘膜が萎縮してきて、胃がんを発症しやすい状態となります。日本の胃がん患者様の99%はピロリ菌感染性胃炎が影響しているといわれています。

除菌治療

ピロリ菌は、内服薬にて除菌することが可能です。除菌治療では抗生剤と胃酸分泌抑制薬を1日2回、1週間服用します。薬剤耐性を持つ菌の場合は除菌できないこともあり、初回の内服治療で除菌できる方は約90%程度です。初回の治療で不成功だった場合は、抗生剤の種類を変えて2回目の除菌治療を行います。2回目までの除菌治療で、97~98%の方は除菌が成功します。ピロリ菌を除菌することによって、慢性胃炎の状態を改善し、潰瘍や胃炎の再発を抑制することが可能です。また、ピロリ菌感染性胃炎が持続することによって胃がんの発症の危険性が非常に高くなるため、除菌治療を受けることは非常に重要です。胃カメラ検査で慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍が診断された場合のピロリ菌感染検査は、公的保険で検査することが可能です。感染陽性と判定された場合は、公的保険で除菌治療を受けることが可能です。当院では日本消化器内視鏡学会専門医が苦痛に配慮した胃カメラ検査を行います。

胃カメラ検査

ピロリ菌の検査方法

胃カメラ検査中に胃炎や潰瘍が確認されたら、同時に感染の有無を検査する組織検査と、胃カメラ検査後改めて行う呼気検査・血液検査があります。1回の検査で陽性と確認されればピロリ菌感染と判断しますが、陰性という結果が出ても疑わしい場合は違う方法で再度確認し、陰性であればピロリ菌が存在しないと判断します。

胃カメラ検査中に
実施する感染検査

胃カメラ検査で採取した組織を使って、ピロリ菌感染の有無を調べます。

迅速ウレアーゼ試験

ピロリ菌はウレアーゼという酵素の作用でアンモニアを産生します。強いアルカリ性のアンモニアが周辺の胃酸を中和することで、ピロリ菌は胃の中に生息することが可能になります。この検査では、採取した組織のpH変化をチェックすることで、間接的にピロリ菌に感染しているかどうかを確認します。

鏡検法

採取した組織を顕微鏡で確認し、感染しているかどうかをチェックします。

薬剤感受性試験、培養法

採取した組織のピロリ菌を培養して確認する検査です。菌株を保存してタイプを確認することも可能です。また、抗菌薬感受性試験を実施することも可能です。効果的なお薬を確認するなど、より詳しい検査を必要とする場合に実施します。

胃カメラ検査を
実施しない検査

尿素呼気試験(UBT)

専用のお薬を飲む前後の呼気を採取して確認します。お薬の中には標識された尿素が入っており、呼気にピロリ菌が含まれる場合は、酵素であるウレアーゼ活性に二酸化炭素がどれくらい増えたかを確認し、感染しているかどうかをチェックします。胃カメラ検査で組織採取をする検査を除いて、この検査は一番精度が高いと言われています。

抗体測定法

血液や尿などを用いて抗体の量を測定し、感染の有無を判断します。今までピロリ菌に感染したことがあるかを確認する検査です。初回のスクリーニングの検査として有用です。

便中抗原測定法

採取した便中にピロリ菌抗原が含まれているかをチェックします。

ピロリ菌感染検査に
健康保険が適用される場合

まず胃カメラの検査は必須です。胃カメラにて慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍と診断された場合にピロリ菌の検査を施行することができます。内視鏡での炎症の状況を考慮の上、適切な方法にて検査します。陰性だった場合は違う方法で再検査し、再度陰性だった場合は陰性と判断します。陽性だった場合は2回まで保険にて除菌の治療を行うことが可能です。検診などで指摘された場合も保険適応になるのでご相談ください。

除菌治療の進め方

まず内視鏡検査によりピロリ菌感染性胃炎を確認、次にピロリ菌の感染診断、ピロリ菌陽性であれば除菌という順に治療を進めていきます。

1お薬の内服

2種類の抗生剤とその効果を高める胃酸分泌抑制剤を1日2回、1週間服用します。お薬を飲んでいる期間に副作用が生じた場合は、直ちに当院までご連絡ください。

2除菌判定

内服直後は正確な判定ができません。当院では、8週間経過してから主に尿素呼気検査にて除菌の成功を判定します。状況に応じ、便中抗原検査を行うこともあります。初回の治療で約90%程度の除菌成功が期待できます。不成功であった方は2回目までは保険適応ですのでお勧めします。

32回目の除菌治療

抗生剤の種類を変更して2回目の除菌治療を行います。

42回目の除菌判定

内服から8週間経過した後に尿素呼気検査にて除菌判定をします。2回目までの除菌治療で97~98%の方は除菌が成功します。仮に不成功であった場合は3回目の治療を受けられますが、保険適応にはならず自費診療となります。