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過敏性症候群

過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群は腹痛とそれに関連する便通異常が慢性的に持続する機能的疾患(腸の動きによるもの)です。国際基準では腹痛が最近3か月の中の1週間につき少なくとも1日以上は生じ、その腹痛が①排便に関連する、②排便頻度の変化に関連する、便形状(外観)の変化に関連する、の2つ以上の症状を伴うものと定義されています。便の形状により便秘型、下痢型、混合型、分類不能型の4つの型に分類されます。急激な下痢や腹痛が起こりやすいため、日常生活にも影響を及ぼすことも少なくありません。お困りの方はご相談ください。

過敏性腸症候群の症状

数か月以上の期間において排便に関連する、突然の腹痛や腹部の不快感を起こします。下痢だけではなく便秘や、便秘と下痢を繰り返す方もいます。腹痛は突然生じ予測できないため、日常生活に支障を来すこともあります。日本人の10%ほどにあるといわれ、男性に比べ女性にやや多い傾向があります。また若い方に多く、年齢とともに減少してくると言われています。IBSの胃腸症状はストレスを自覚したときに症状が出やすい傾向にあります。日中の活動が盛んな時間帯に症状が出やすく、就寝中には症状が出ることはありません。 また、うつや不安、ストレス、疲労や睡眠障害も関連していると言われており、緊張などのストレスを感じると症状が現れる場合もあります。

下痢型

便の形状にて4つの型に分かれます。軟便や水様便が4回に1回以上だと下痢型のIBSが考えられます。男性に多い傾向にあります。

便秘型

硬便や兎糞状便が4回に1回以上だと便秘型のIBSが考えられます。強くいきんでも丸くて小さな硬い便が少し出るだけで、排便してもすっきりしない事があります。女性に多い傾向にあります。

混合型

軟便・水様便が4回に1回以上かつ硬便・兎糞状便が4回に1回以上で便秘と下痢を繰り返します。

分類不能型

いずれの型にも当てはまりませんがIBSの症状を起こすものです。 

症状が現れるきっかけ

蠕動運動や消化管の機能の低下、消化管の知覚過敏などが原因で症状が現れるとされています。自律神経が消化管の機能を制御しているため、不安や緊張などのストレスを感じると症状が現れやすくなります。また、感染性胃腸炎後の10%くらいの方に過敏性腸症候群の症状が現れる場合もあるとされており、免疫異常による影響も示唆されています。 

過敏性腸症候群の診断

症状は様々な消化器疾患で起こるものと似ているため、問診にてほかの重大な疾患を疑う兆候がないか確認後、器質的疾患の有無を除外もしくは確認するために、大腸カメラや検査血液検査を実施します。特に大腸がん、炎症性腸疾患の除外は重要です。また50代以上の方、発熱、関節痛、血便、体重減少、腹部腫瘤などの症状がみられる場合は器質的疾患がある可能性が高いので速やかに検査をお勧めします。問診の際は、一般的に国際基準であるRomeⅣ診断基準をもとに行っております。

RomeⅣ診断基準

繰り返す腹痛が最近3ヶ月の中で平均して1週間につき少なくとも1日以上を占め、次の2項目以上の特徴を示す。

  • 排便に関連する
  • 排便頻度の変化に関連する
  • 便形状(外観)の変化に関連する

3ヶ月以上症状が続いている方は、診断基準をもとに過敏性大腸炎(IBS)を疑い診察・加療していきます。慢性便秘症と区別が難しいこともあり、また女性のIBSでは婦人科に受診される方も少なくありません。上記のような症状がございましたら、遠慮なく当院にご相談ください。

過敏性腸症候群の治療方法

過敏性腸症候群は生命に危険が及ぶような疾患ではありませんが、日常生活に影響が生じることはあります。明確な原因は不明なため、短期間に改善することもありますが、治療を開始してもすぐには改善しない事もあります。生活背景なども考慮し、根気よく治療を続けていくことが大切です。 患者様によってお困りの点が異なるため、当院ではガイドラインに沿って患者様に合わせた治療を行ってまいります。心理的要因も関与いたしますので、気になることがございましたら気軽にご相談ください。治療では、症状を解消する薬物療法の他、食事などの生活習慣の見直しも重要です。治療がストレスになるとかえって症状が悪化するため、丁寧に患者様の状態を確認し、患者様それぞれに合った治療法をご案内いたします。

生活習慣の見直し

疲労、睡眠不足、生活習慣の乱れなど、症状につながる要因をなるべく改善するようにします。足腰を冷やさないように注意し、なるべく毎日湯船に浸かって、身体の奥まで温め、リラックスを心がけるようにしましょう。

食事

唐辛子などの刺激物の摂取、お酒の飲み過ぎは、胃腸に負担をかけるため、程々にしましょう。あまり厳しく制限すると逆にストレスになることもあるので、無理のない範囲で取り組むことをお勧めします。また、便秘型・下痢型を問わず、十分に食物繊維と水分を摂取しましょう。

運動療法

運動を習慣化すると腸の機能改善につながります。無酸素運動や過度な運動はかえってストレスになるため、軽めの有酸素運動を習慣にしましょう。軽く汗を流すくらいのストレッチ、ウォーキングなどが効果的です。

薬物療法

日常生活に影響を及ぼす不快な症状を解消します。過敏性腸症候群の症状は多岐にわたるため、お薬も作用や効果に違いがあるものが複数あります。また、同じお薬でも効果は人によって異なります。主として整腸剤(プロバイオティクス)や高分子重合体(便の性状を整える)、消化管運動機能改善薬を使用します。症状に合わせ、他の薬剤も併用します。新たな作用機序を持つお薬も出てきており、個々の患者様に合わせた治療を進めていきます。 再診の際には患者様の状態をお聞きして、状況に応じ処方内容を見直すこともあります。ご要望があればお気軽ににご相談ください。