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胃炎

胃炎について

胃炎とは、胃の粘膜に発赤・浮腫・びらんなどの炎症が起きた状態で潰瘍より浅い病変を胃炎と称し、急性胃炎と慢性胃炎に大別されます。急性胃炎は、ストレスや暴飲暴食などによる自律神経の失調、飲酒・喫煙などの影響で起こる一過性のものです。慢性胃炎は持続的に炎症が継続します。ピロリ菌感染が最大の原因であり、次にNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)による副作用が原因として多いと言われています。ピロリ菌感染によって起こっている場合は、抗生剤の内服にて治療が可能です。

急性胃炎・慢性胃炎(萎縮性胃炎)の症状

市販薬などで一時は症状が改善されても、また繰り返すという場合は消化器内科で検査を受けることをお勧めします。また、ピロリ菌感染では胃・十二指腸潰瘍や胃がんのリスク因子となります。症状がある場合は早めにご相談ください。

急性胃炎

  • 急激な上腹部痛
  • 悪心・嘔吐
  • 吐血・下血

慢性胃炎(萎縮性胃炎も同様の症状が起こります)

  • みぞおちの痛み
  • 嘔気
  • 腹部膨満感
  • 食欲不振 

胃炎の原因と種類について

急性胃炎

胃の粘膜で急激な炎症が生じた状態です。刺激物・カフェイン・アルコールの摂り過ぎ、暴飲暴食、喫煙などによって起こることが多いです。また、自律神経の失調によって起こることもよくあり、睡眠不足やストレスなどの生活習慣の乱れが原因で発症リスクが上がります。

慢性胃炎

ピロリ菌の感染

慢性胃炎の主な原因とされています。慢性胃炎の80%がピロリ菌感染によるものです。ピロリ菌はウレアーゼという酵素を産生し、尿素を分解してアンモニアを生成し胃酸を中和することによって胃に生息します。除菌しない限り胃の中に棲みつづけ持続的に胃炎を引き起こします。

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)による副作用

市販薬にも含まれる成分です。頻回に服用すると胃炎を引き起こし、胃潰瘍を併発する恐れもあります。お薬を飲み始めてから胃炎の症状が起こった場合は、なるべく早めに受診してください。

胃の粘萎縮性胃炎

膜は粘液で保護されており、損傷しても回復することができます。しかし、胃腺の破壊と再生が繰り返されることにより胃腺が徐々に失われていき、萎縮性胃炎へと変化していきます。萎縮性胃炎の状態になると胃がん発生のリスクが高くなってきます。

胃がんと萎縮性胃炎について

持続的な胃炎がおきると胃粘膜の再生が追い付かず、固有胃腺が減少し粘膜が萎縮してきます。萎縮性胃炎がさらに進むと、胃粘膜が小腸粘膜の特徴を持つ粘膜に変化する腸上皮化生が起こり、胃がんの発症リスクが高くなります。ピロリ菌を除菌しても、萎縮性胃炎や腸上皮化生の程度によっては胃がんの発症リスクは継続するため、定期的な胃内視鏡検査が必要となります。未除菌の場合はまず除菌治療をすることが重要です。除菌した後も定期的な検査を行うことによって、がんが発症しても早期に発見することが可能です。

胃炎の検査

急性胃炎の検査

診察の際に服用中のお薬や受診前の飲酒や食事の状況、発症の経緯をお聞きして原因を検索します。症状の程度に応じて胃内視鏡検査を施行し、病状を把握し胃酸分泌抑制剤や粘膜保護剤など適切な投薬を行います。

慢性胃炎の検査

診察の際に服用中のお薬などをお伺いしたうえで、胃カメラ検査を施行し粘膜の炎症の程度や萎縮の範囲を確認します。ピロリ菌の感染が疑われる場合は組織を採取し感染の有無を調べます。特徴的でない場合は後日、呼気検査にて確認します。当院では日本消化器内視鏡学会専門医が、負担を軽減した的確な検査を行います。

胃カメラ検査

胃炎の治療

症状そのものは胃酸分泌抑制剤などのお薬で比較的短期間で軽快させることが可能です。症状が落ち着いても服薬を途中で止めずに、医師の指示を守って炎症が完全に治るまでお薬を服用してください。ピロリ菌感染が原因の胃炎には、除菌治療を実施します。除菌治療によって、慢性胃炎による諸症状の改善が見込め、それに伴う胃がんなどの発生率を抑えることにも寄与できます。 非ステロイド性抗炎症薬などお薬の副作用によって起こる胃炎には、処方内容の見直しや休薬が効果的ですが、お体の状態や病状によって処方内容の見直しや休薬が困難なこともあります。その場合は、消化器内科で適切な治療を受けて、炎症が起こりづらい状態をキープしながらお薬を飲むことで、身体になるべく負担がかからないようにします。また、生活習慣や自律神経の乱れ、ストレスなどによって起こる場合もあるため、生活習慣の見直しも重要です。

薬物療法

患者様の生活習慣や健康状態を確認し、胃酸分泌抑制剤や粘膜保護薬などを用いた適切な治療を行います。

ピロリ菌除菌

ピロリ菌を除菌するには、2種類の抗生物質とその働きを促進する胃酸分泌抑制剤を、1週間服用します。なお、抗生物質への薬剤耐性を持つピロリ菌も存在し、除菌がうまくいかないこともあります。その際は、抗生物質を変更し、2回目の除菌治療を実施します。 1回目の除菌治療で90%は成功し、2回目まで行えば97~98%成功するとされています。 除菌判定は、お薬を飲み終わって約2ヶ月以上経過したのちに呼気検査にて除菌判定を行います。また、胃カメラ検査で胃炎や潰瘍を確認しピロリ菌検査を受ける際は健康保険が適用され、この検査でピロリ菌感染陽性となった場合の除菌治療は、2回目まで健康保険が適用されます。

除菌治療後のピロリ菌の再感染について

ピロリ菌の再感染率は約1%程度と言われています。現代社会では衛生環境も整っており、あまり再感染を心配することはないと考えます。しかし除菌した後に陰性と結果が出ても、しばらくしてから陽性となることがあります。これは除菌後の検査の偽陰性の可能性があり、偽陰性とはピロリ菌が残っているにもかかわらず陰性と結果が出てしまうことです。除菌後は呼気検査にて感染の有無を調べますが、除菌後あまり期間を空けずに再検査をすると偽陰性になる可能性があります。当院では除菌後に検査をする場合は、きっちり2か月以上は空けることを勧めております。

生活習慣の改善

食生活の乱れ、暴飲暴食、睡眠不足などの生活習慣の乱れによって胃炎のリスクが高まります。またカフェインやアルコール、刺激物の摂り過ぎや喫煙なども発症の危険因子となるため控えるようにしましょう。