TOPへTOPへ

切らないジオン注射(ALTA療法)

ジオン注射(ALTA療法)

ジオン注射(ALTA療法)は、いぼ痔を切開せずに注射のみで治療可能な方法のことです。はっきりとした外痔核を伴っていない内痔核のうち、進行Ⅱ度~Ⅳ度の肛門から痔核が飛び出している(脱肛)内痔核に行われます。治療そのもので痛みが生じることは少なく、脱出や出血を解消できますが、約1割の方に再発や初期無効例が確認されています。局所麻酔だけで治療そのものに痛みが生じず、脱出や痛みを解消できるということで関心を集めています。タンニン酸や硫酸アルミニウムカリウム水和物などのお薬を使用し、痔核の4ヶ所に直接注射を行います。術後約2週間は安静にして頂きますが、術後に起こりやすい合併症である出血が少なく、入院せずに治療を受けられるという利点もあります。かねてより20万件以上の実施例があり、保険診療で対応できます。

いぼ痔の治療に有効な
治療法です

はっきりとした外痔核を伴っていない脱肛(肛門から痔核が飛び出した状態)した状態の内痔核に対して実施します。
痔核に注射をするのみで治療が可能で、局所麻酔もしくは仙骨硬膜外麻酔を行うため痛みが生じません。また、手術とは異なり術後の出血や痛みが少なく、入院せずに治療を受けられるというメリットもあります。
内痔核の患者様の中で、以下のような方にジン注射(ALTA療法)を推奨します。

  • 排便すると痔核が飛び出す、もしくは飛び出したまま元に戻らない
  • 便すると出血する場合がある
  • 上記の症状があるが、軟膏や坐薬では治療効果が不十分である

ジオン注射を行えない方

  • 前立腺がんなどで放射線治療を受けたことがある方
  • 嵌頓痔核を患っている方
  • 妊娠中または授乳中の方
  • 潰瘍性大腸炎を患っている方
  • 小児
  • 透析を受けられている方
  • 全身状態が芳しくない方

ジオン注射(ALTA療法)の流れ

  1. 治療前に仙骨硬膜外麻酔もしくは局所麻酔を実施します。
  2. 麻酔の効き目をチェックしてから、ジオン注射の治療を実施します。四段階注射法によって、1つの痔核に対して4ヶ所(上極部粘膜下層、中央部粘膜固有層、中央部粘膜下層、下極部粘膜下層)に直接注射をします。麻酔をしてからジオン注射の治療が終わるまでの所要時間は約30分です。
  3. 出血は、ジオン注射をしてから約2~3日で改善します。
  4. 改善にかかる時間は人によって異なり、早い方は翌日から改善しますが、約1ヶ月かかる方もいらっしゃいます。

治療による
メリット・デメリット

メリット

痔核が肛門から飛び出す「脱肛」が起こる内痔核に対して、手術で切開せずに注射のみで治療可能な点が一番のメリットと言えます。

  • 手術で切開しないため、術後の出血や痛みは原則起こりません。
  • 治療に時間がかからないため、心身の負担が軽くなります。
  • 治療で入院することはないため、家事や仕事などの日常生活にもほとんど支障をきたしません。
  • 保険診療となり、日帰りで治療を受けられるため、経済的な負担も少なくなります。

デメリット

  • 術後、約1割の方が再発するとされています。また治療部位とは異なる部位の痔核が巨大化して再発することもあります。
  • 脱肛を伴う全ての内痔核の治療に対応しているものではありません。病状によっては手術が不可欠なものもありますし、ジオン注射と手術を併用したハイブリット治療(E on ALTA)を推奨することもあります。
  • ジオン(ALTA)注射の治療は注射のみで実施できますが、角度や深さ、方向、位置、お薬の量などをしっかりと考慮することが重要で、高度な技術が必要な治療であり、簡単なものではありません。実施しているのは、専門的な教育プログラムを受講して認定を受けた専門医が所属する医療機関のみであり、肛門科でも対応していないところもありますので、受診前に問い合わせることをお勧めします。

術後に気を付けること・
副作用(危険性・偶発性)
について

治療そのものは入院せずに受けられますが、ご帰宅後は安静にして頂くことが重要です。約2日はお仕事も休んでご自宅で安静にして頂くことを推奨しており、また術後約2週間は飲酒や過度な運動を避けてください。
なお、副作用として注射部位に痛みや腫れが起こる場合があります。腫れは、肛門部分を重く感じる場合もあれば、肛門が狭くなったような感覚から「排便してもすっきりしない、排便が難しい」と仰る方もいらっしゃいます。こうした症状は時間が経つと自然に消えますが、稀に腫れがいぼのように残ることもあります。また、術後に出血が起こることは稀ですが、直腸に潰瘍が生じて出血が起こる場合もあります。潰瘍の治療には約6ヶ月必要なこともありますが、多くは自然に治ります。不安な症状があれば、一度当院までご相談ください。