TOPへTOPへ

下痢

下痢について

下痢は、形状を維持できない程に多量の水分を含む便が何度も排出される状態であり、激しい腹痛が起こることも少なくありません。消化管には、消化管から分泌される水分と口から摂取した水分が合計で10リットル程度含まれています。そのうち、8リットル程度は小腸で吸収され、大腸でも一部が吸収されるため、正常な便の中の水分量は約100mlと言われています。下痢は、大腸で吸収される水分が足りないこと、小腸で吸収される水分が足りないことや分泌量が多くなることなどにより起こります。暴飲暴食や冷えが原因となる場合もありますが、様々な疾患の症状として下痢が生じることもあります。原因がはっきりしていてすぐに症状が落ち着き、繰り返し起こらない場合は心配いりませんが、症状が長く続く、症状が重い、何度も起こる場合は、疾患の症状の疑いがあり、原因を特定することが大切です。下痢が生じる疾患では、大腸がん(肛門から離れた右側のがんが多い)や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)、下痢型過敏性腸症候群などがあります。下痢の症状が長引いている場合はなるべく早めに消化器内科までご相談ください。慢性的な下痢は、日常生活にも悪影響をもたらす恐れがありますので、お困りの方は一度当院を受診してください。

急性下痢と慢性下痢

下痢は急激に起こり2週間以内に落ち着く急性下痢と、軟便や下痢が1ヶ月以上長引く慢性下痢に大別されます。急性下痢の原因は、80%以上が感染症と考えられています。また暴飲暴食や食事内容・冷えなどの生活習慣的なものもあります。慢性下痢は様々な病気が原因で生じることがあり、なかには速やかに専門的な治療を受けたほうがいいこともあるため気を付けましょう。

下痢の症状が生じる代表的な疾患

感染性胃腸炎

急性下痢の80%以上は感染症とされています。感染症の原因には細菌、ウイルス、真菌、原虫があり、多くはウイルスによるものです。

大腸がん

大腸がんは大腸の右側におこると下痢をしやすく、左側におこると細い便や便秘をきたしやすいと言われています。一概に症状が出るというわけではありませんが、長引く下痢や便秘の場合は考慮する必要があります。とくに急に症状が出現し、1か月以上続く場合は注意が必要です。40歳以上であれば大腸内視鏡の検査をお勧めします。

炎症性疾患

炎症性腸疾患のクローン病や潰瘍性大腸炎は、いずれも患者数が増え続けています。血便、下痢、腹痛などが生じやすく、症状が起こる増悪期と落ち着く寛解期を繰り返します。寛解期でも再燃しないように服薬と経過観察が必要です。確定診断をするためには大腸カメラ検査が有用です。下痢が長引いている方は早めに当院までご相談ください。

下痢の検査

大腸カメラ検査急性下痢では問診が重要です。発症時期や排便回数、接触歴、海外渡航歴、薬剤使用歴などをお伺いします。症状に応じ便培養検査、血液検査などを行います。慢性の下痢では腸疾患であることも少なくないため、大腸カメラ検査、便潜血検査、血液検査、便中カルプロテクチン検査、便培養検査などを必要に応じて実施し、原因を特定します。大腸カメラ検査では、大腸全体の粘膜の状態を観察し、組織検査にて確定診断が可能です。当院では苦痛に配慮した的確な検査を行います。鎮静剤を使用してウトウトした状態で検査を受けることもできますので、内視鏡検査に不安な方も一度ご相談ください。

大腸カメラ検査

下痢の治療

脱水のリスクがあれば点滴を実施し、原因疾患や症状に応じた適切な治療を実施します。暴飲暴食や冷えなどの日常的な原因が考えられる場合は、水分補給をしっかり行い、腸管を休ませるため胃腸に優しい食事を摂り、身体を温めるなどの対応を行ってから経過観察をします。生活習慣によって下痢が長引いている場合は、お酒、高脂質な食事、香辛料やカフェインなどの刺激物、牛乳、冷たい飲食物の摂取を控え、腹部を冷やさないようご注意ください。

急性下痢

脱水が起こらないよう十分に水分補給をしましょう。冷たい飲み物を摂取すると、体が冷えて症状の悪化に繋がるため、常温もしくは温かい飲み物を摂取しましょう。発熱や嘔吐の症状もあれば、脱水が起こることもあるため、早急に当院までご相談ください。腸管を休ませるために、食事はすりおろしリンゴ、コンソメスープ、煮込んだうどん、白粥など胃腸に優しいメニューを少しずつ摂取してください。

慢性下痢

診察室長期に繰り返す方は、疾患により起こっている可能性があります。症状に応じ投薬を行い、原因の検索を行います。原因が認められる場合は、原因の根本的な治療が必要です。的確な検査を行い適切な治療を行うことが大切です。慢性的に下痢が起こるという方は、なるべく早めにご相談ください。