- ALTA療法(ジオン注射)
- 内痔核(いぼ痔)の治療に有効な治療法です
- ALTA療法(ジオン注射)を行えない方
- ALTA療法(ジオン注射)の流れ
- ALTA療法(ジオン注射)のメリット
- ALTA療法(ジオン注射)のデメリット
ALTA療法(ジオン注射)
ALTA療法は内痔核に行う治療です。内痔核にタンニン酸アルミニウムカリウムという薬液を注入し、炎症を起こすことによって、痔核が本来の場所に固定されて脱出しなくなったり、線維化によって血流を抑えて出血を改善させたりする治療です。切除する手術に比べ術後の痛みが少ないこと、多くの場合は日帰りの治療ができるというメリットがあります。デメリットとしては再発が約30%くらいに起きること(施術直後や1,2年後)、頻度は少ないですが潰瘍などを形成し入院が必要になることなどがあります。Goliger分類のⅡ度—Ⅳ度の内痔核が適応になってきます。適応をしっかり診断して行うことが重要です。痔核以外には薬剤を注入することはできないので基本的には内痔核のみが脱出するものがいい適応になってきます。外痔核や肛門ポリープなどは適応外ですが切除と組み合わせて行うこともあります。
内痔核(いぼ痔)の治療に有効な治療法です
外痔核を伴っていない、脱肛(痔核が肛門外に脱出する)する内痔核が適応です。炎症を起こし固定する治療なので軽度の皮垂などは牽引され肛門管内に帰納することも可能です。 痔核内に薬液を入れる治療なので、基本的に痛みはあまりありません。腫れたような違和感は残ることはありますが通常2週間くらい経過するとなくなってきます。切除する手術に比べメリットもありますが、適応を見定めることは重要です。 内痔核の患者様の中で、以下のような方にALTA療法(ジオン注射)を推奨します。
ALTA療法(ジオン注射)を推奨する方
- 排便すると痔核が脱出し押し戻している
- 排便すると出血し、軟膏などではコントロール不良である
- 今までにALTA療法を行ったことがない(再発例は効果が低い可能性があります)
ALTA療法(ジオン注射)を行えない方
- 前立腺がんなどで放射線治療を受けたことがある方
- 嵌頓痔核を患っている方
- 妊娠中または授乳中の方
- クローン病など肛門に炎症をきたす疾患の方
- 小児
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透析を受けられている方
- 全身状態が不良な方
ALTA療法(ジオン注射)の流れ
1麻酔
肛門括約筋間に4か所局所麻酔をします。患者様の状況により、点滴で静脈麻酔も併用します。
2薬剤注入
麻酔の効き目をチェックしてから、薬剤注入を開始します。痔核に対し4ヶ所(上極部粘膜下層、中央部粘膜固有層、中央部粘膜下層、下極部粘膜下層)に適量の薬液を注射します。
3マッサージ
すべての痔核に施術が終わった後、同部位に対し薬が均等に広がるように用指的によくマッサージします。
4術後の確認
麻酔をしてからジオン注射の治療が終わるまでの所要時間は約30分です。施術後は30分くらいベッドでお休みいただき、出血などがないことを確認して終了となります。
5外来受診
術翌日は外来に受診していただき、出血や異常な腫れがないかなどを確認します。
6合併症が起きていないか確認
以降は1週間に一度程度、外来で合併症がおきてないか確認し、1か月程度で終診となります。
ALTA療法(ジオン注射)のメリット
従来手術で治療していた内痔核に対し、痛みが少なく時間的制約も軽減できる選択肢が増えたことは患者様には望ましいと思われます。
- 手術で切開しないため、術後の出血や痛みが軽減できます。
- 治療に時間がかからないため、心身の負担が軽くなります。
- 日帰りで施行することがほとんどであるため、家事や仕事などの日常生活への影響を少なくすることができます。
ALTA療法(ジオン注射)のデメリット
- 約30%の再発があります。施術直後や1-2年経過して以降再発をきたすことがあります。
- 脱肛を伴う全ての内痔核の治療に対応しているものではありません。病状によっては手術を選択する場合もあります。ALTA療法と手術を併用したハイブリット治療を推奨することもあります。
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従来の手術と異なる合併症をきたすことがあります。潰瘍や膿瘍を きたした場合は入院が必要になることがあります。